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撮り鉄と妄想鉄の融合過程

​奥武鉄道では多くの実写写真を公開しておりますがこれらは管理人が撮影した実在する鉄道の写真をもとに合成されたものであることは言うまでもありません. ここではその過程を少しだけ紹介いたします. 

用意するもの

管理人が過去に撮影した実在する鉄道の写真(できるだけ作りたい車両に形態の近いものを選ぶ)

Windows Power Point

Adobe Photoshop CC

方法

 

[1] まずPower Point上に実在する鉄道写真を乗せ、実在車両に肉付けするように図形を組み合わせて奥武鉄道の車両前面パーツを描いていく(場合によってはこの前の時点で実写写真を大幅に編集してから乗せることもある).

[2] 一度Power Point上の実写写真を外し、背景にたった今描いた前面パーツで使用していない色のベタを入れてスライドショーを展開しスクリーンショットを撮影する. 

[3] Adobe Photoshopで実在する鉄道の元画像を開き、ここにスクリーンショット画像をペースト、背景ベタを近似色選択の上消去し、実在車両の上に貼り合わせる. 

[4] ここからが本番、まずは元画像の車両の色、形態をPhotoshop上で可能な限り奥武鉄道の対象車両に近づけていく. 

[5] そして貼り合わせた前面パーツの上に窓、前灯および尾灯、スカート、スノープラウなどなど細かな部品を全てまた他の実写写真から貼り合わせる形で切り貼りを続け(これらが絵だと違和感が出るため)、必要であれば質感を出すためにPower Point作画部分の汚れ、立体感などを適宜実写写真の一部を貼り合わせることで補っていく. 

というと簡単ですが、大体一枚2-3時間はかかるでしょうか…

sample 1

 3000系電車(元は奈良線の103系)

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貫通扉を備え小さな運転台窓が特徴的な3000系のラフスケッチを重ねていきます. 

3000系作成過程.jpg

実写パーツをふんだんに使い質感を整えていきます. もちろん戸袋窓の再現や正面排障器の撤去も忘れません. 排障器がなくなることによって様変わりする正面下部はどの写真から持って来たものでしたか…きちんとATS車上子も露出しています. 細かくてこの写真では見えないかもしれませんが、交直流両用車ならではのパンタグラフ周りの碍子も追加していますよ!(その割には架線周りがいかにも直流区間のままではあるのですが)あ、もちろん線路脇の警戒灯の下の駅名も「長池」から「柿岡」にさりげなく変更してしまいました. 

3000spring_02.jpg

sample 2

 新700系電車(元は仙山線の719系)

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​新700系の造形はまさに719系のイメージがよく合うと思うのですが、実際に比べてみるとなかなか異なる部分が多かったですね. まずラフスケッチを乗せてみましたがこれで良いのか?という感じです. 

新700系作成過程.jpg

​下部標識灯は確か小田急8000形の前照灯です. 雪の照り返しを考慮して風合いの調整を繰り返し、最終的には719系よりも引き締まった山男らしい仕上がりになりました. 

new700winter.jpg

sample 3

 キハ100形気動車(元は小湊鉄道キハ200)

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奥会津の特別豪雪地帯を闊歩する​キハ100は数ある奥武鉄道の車種の中でも管理人自身が特に好きな一種ですが、元写真は温暖な房総半島を走る小湊鉄道キハ200. とりあえずということで重ねたイラストに、どうせ後で実写パーツで消すのに運転台窓のグレーベタ塗りがなされていたり旋回窓まで描かれていたりするのは多分この車種に対する管理人の偏愛なのでしょう...

キハ100作成過程.jpg

​白熱球前灯のあかあかとした輝きはJR東日本SLの写真から、旋回窓は今はなきひたちなか海浜鉄道キハ222号から実写パーツとして移植しています. あとは色味を調整したりスノープラウもつけてみたりと、妄想は止まりません. 

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sample 4

 20000系特急形電車(元は小田急電鉄60000形MSE)

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初秋の奥武臨時特急をイメージした20000系の元写真はなんと初夏の小田急ロマンスカー. 自分で描いている部分は本当に最小限です. 先程のキハ100形と違って?前面のあまりにもラフな描き方に「どうせ実写パーツで掻き消されるから」という割り切りも感じられますね. 

20000系作成過程.jpg

景色もだいぶ変わっています. 特に小田急らしさを感じさせる青と黄の橋梁はNGですからね. 

​車体側面は同じ地下鉄直通車両ではありますが窓の天地寸法が大分大きくなりました. またイラストである前面はのっぺりした感じをなくすためにまた別の写真から金属光沢と汚れの雰囲気のあるパーツを貼り合わせて質感を再現しています. 20000系ならではの薄緑色の窓ガラスの再現も忘れていませんよ. 

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sample 5

 キハ100形気動車(元は宗谷本線のキハ54)

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厳冬の白田線を行くキハ100はJR北海道のキハ54から. 本当はキハ22などの素材があれば非常に楽なのですが管理人の年代的にもキハ22時代の撮影経験がないもので、ステンレス車から鋼製車にするとはかなり無理矢理で結果として屋根上の造形は水タンクを取り払ったもののキハ54のそれが強く残っています(キハ100も製造年代が長きにわたるのでバリエーションということで…). 実写写真は宗谷本線の日進~北星間ですが景色が同じなのは何となく嫌だったので左右反転して使用しています. 顔を描いているのはいつもの通りですが最終的にはどこまでが描いた部分でどこからが実写パーツなのかよく分からないことに…. 

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​車両は2両編成に、前面に付着した雪はさらに増やして…特に助手席側窓下のつかまり棒に雪が付着した造形の再現はよくできたものと満足していたり. しかしあまりにリアルさを追求すると何だこれ国鉄キハ22の写真を持って来ただけじゃないの?という感じになるのはある意味ジレンマですね. 結構苦労しているのですが. 

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kiha100wintersnow.jpg

sample 6

 1050系電車(元は京王井の頭線の1000系)

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ローカル線好きの管理人が好きな車両だけ実写化していると勢いキハ100形やキハ4000系の写真ばかりになっていき折角魅力的な近距離通勤形電車の写真がほとんどないことにかねてより後ろめたさを感じていたわけです. また今まで実写化して来た車両がどれも国鉄世代の車両ばかりで側面形態も比較的実在車両に近いということもあり、それなら、かのファンタジー要素の塊のような1050系を実写化できるのかよ、できるなら見せてみろよ、という内なる責めと葛藤に対して答えようとしたのがこの写真です. でも何で井の頭線1000系を土台にしようと思いついてしまったのかは全く不明です. 別に全く似ていないんですけれどね!

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​顔をパワポで描き貼り合わせて行くのはいつもと同じですが、実際にはその後の側面を含めた調整に相当な工程数を要しており製作には時間をかけています. もちろん側面の複雑で特徴的な塗装も、PowerPointでの作画を貼り付けて背景のグリーンを同系色選択→消去する形でうまく貼り付けています. 元写真は5連なので編成末尾は山桜と桜の花で覆い隠すという暴挙に…. 架線柱番号の「駒東(駒場東大前)」は「天沼(天沼町)」に変更しております. 

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sample 7

 20000系電車(元は小田急60000形MSE)

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またもや小田急MSEから20000系を作ってみました. 元写真は渋沢~新松田間にある俯瞰撮影の名所ですが、左右反転した上でさらに山深い雰囲気に景色を作り変え、藤の花も盛っています. 小田急小田原線は複線ですが、単線に変わっているのもポイント. 

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こういう俯瞰写真は車両が小さくなりますが丁寧に作り込んでいきます. 特に斜め上から見た前面ステップの雰囲気は実写パーツを使って再現、運転台窓ガラスの照り返しも実感的に再現しました. 藤の花咲く新緑の峠道にあかね色の特急電車…奥武ロマンがここにあります. 

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sample 8

 旧700系電車(元はしなの鉄道115系)

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秋の野を行く旧700系(2020年9月作画)は、しなの鉄道の115系(長野色)から. この間に作成していた過去車両イラストでパワーポイントを使ってウェザリングを加え始めており、こちらでもパワポ作画段階で少々汚しを入れております. 手法としてはいつもと同じく顔をパワポで作っていきますが、斜め構図は全て平行四辺形と丸で組み上げることになるので正面構図より格段に手間数が増えるのです. 

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片側3扉の115系から、片側2扉の700系へ…. すでに半世紀にわたり走り続けている旧700系. その地味ながら堅実な活躍を思いながら作成していたらつい思いがこもってしまい、さらに色々なところを汚してみたくなりました. 雪切室のルーバー下、パンタグラフ下、正面前額部…そうそう、もちろんパンタグラフは元写真のシングルアームから菱形につけかえ、周囲の交流機器も再現していますよ!こんな電車に乗って、空高い初秋の旅を堪能してみてはどうでしょう?

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sample 9
 DF500形ディーゼル機関車(元は?西武10000系)

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梅雨空を行くDF500. 元の写真はディーゼル機関車ですらない、西武10000系. いや、前面しか見えていませんからもはやここまでくると元の写真が何でも関係ないのですね. 
芦ヶ久保駅の配線はちょうど磐岩線の飯土用駅に近いのですが、飯土用駅の配線としては右側に見えている安全側線は不要なので消されることが決定しました. 

スクリーンショット 2021-06-14 153905.jpg

やはりパワポで顔を描いていくのですが、実際にはその後の細かい部品の取り付けとウェザリングが作業の大半です. パワポで描いた絵は足場として使って、実際の絵の大半は実写部品の切り貼りですね. 件の安全側線は紫陽花の木をホーム端に植えて隠してしまいました. 
​磐岩線の小さな駅でなかなか来ない普通列車を待っていたら突然ホームの列車接近ブザーが鳴って…そんな光景を描いてみたかったのです. 

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sample 10
 3000系電車(元は阪和線の103系)

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新緑の奥武本線八郷信号場を行く3000系の直達準急新宿行きは、阪和線で現役だった時代の103系から改造. sample1と同じく103系低窓車からの改造になるため技術的なチャレンジはありませんが、使い古されて満身創痍の通勤電車、その凄みを出すために細かな風合いをつけることにこだわっています. 

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運転台まわり以外では排障器の有無や戸袋窓の有無(3000系は上下二段に分かれた戸袋窓あり)、編成長の違いも. 元々の写真にあった踏切周りのごちゃごちゃした色合いもちょうど延長2両分で隠され、緑深い鉄路に旧型電車の存在感が映えます. 

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sample 11
 800系電車(元は青梅線E233系)

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景色を変え、陽が当たって入る方向と奥武本線の走る方向を考えて遠くに見える出発信号機は「上本出」から「下本出」に変更しています.
前面の描画や何ならゼロから描いた前面に架線、架線柱の影を再現するのも簡単なのですが、実は最も失神しそうになったのはクーラーキセ. E233系は1両あたりクーラーキセ1つなのですが、800系は1両当たり2つ. これを再現しようとするともれなく架線の処理がついてくるので、面白くない上に煩雑な作業で疲れました. ともあれ、新緑の山をバックに奥武本線を行き交う800系. つい乗ってみたいと思える渋い色合いの電車が出来上がりました. 
 

五月晴れの奥武本線を行く800系(2022年5月作画)は、実は青梅線古里駅で交換するE233系から. 800系電車の前面は貫通扉付きの左右対称なデザイン、そして車体側面形状は221系に似ているため、事実上ほぼ全面的にゼロから描画することになります. といっても車両側面が大きく見えているのはお隣の列車の方だけですので、作業時間の大半を手前の主列車の前面作成に割き、側面に関しては以前に描画した他画像から側面部分を持って来て主列車後方の側面を作り、お隣の列車に関しては発車シーンとして若干ブレさせることでそれらしく仕上げています. 

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sample 12
 1070系電車(元は相模鉄道21000系)

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東急目黒線の多摩川橋梁を行く1070系は、実際に同所で撮影した相鉄21000系の実写写真から改造. 前面下部と側面の特徴的な模様はPower Pointで描画したイラストを用い、前面下部の金属光沢部分は後から実写パーツを貼り付けています. 車両側面は色を変えた相鉄車にシアー変形で裾絞りを加えたものをベースに、イラストの丸窓で窓内をくり貫いたものを上から貼り付けて丸窓を表現し(丸窓枠の凹凸は車体側面模様パーツに付属)、消灯している側面行先表示のガラス表現や大きなドア窓も追加して行きます. 

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​運転台の形状の違いにより元の相鉄車の前頭部が若干1070系前頭部からはみ出してしまうため、背景の景色をコピーしてごくわずかに右にずらして貼り付けています. 相鉄車の色を変えた際に車両手前の柵も緑色になってしまったので、これは元写真から柵を同系色選択して上から再度貼り付け. また、4両目まで作るのが面倒だったのでピンボケの桜に揺れてもらい4両目を隠してもらったのは内緒!どうでしょう、違和感のない1070系多摩川橋梁渡河写真の完成です!何なら必要に応じて上り内側線を走る都営車との並びを合成しても面白いかもしれませんね. 

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如何でしたでしょうか. 奥武鉄道のイメージが壊れてしまったとしたら大変申し訳ありません. もしそうだとしてもなおさら皆様への謝罪を兼ねて、ますます奥武鉄道のイメージを豊かに膨らませて頂くべく、管理人としては今後も妄想鉄実写写真を作成していく所存でありますのでどうぞ宜しくお願い申し上げます. 

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